ファームステイ  2000/09/13


 愛知県渥美半島を走る国道259号沿いの土地約2000平方メートルに、小笠原さんと、その仲間が営む畑が広がる。私の故郷でもあり、海と山に囲まれたのんびりした所だ。
 
 都会の消費者に農作物の“故郷”とそこでの生活に触れてもらおうと4年前、「渥美どろんこ村」はスタートした。
 敷地内に、手造りでログハウス風の宿泊施設を二棟建てた。ここに泊まり、農作業を体験してもらい、自家製の野菜や卵、鶏肉、ヤギ乳などを使った家庭料理をたらふく味わってもらう。
 
 どろんこ村のテーマは『自給自足と有機栽培』。
   
 「農家も出荷用と自家用で農薬の使用を変えている現状の中、なるべく農薬を使わない野菜を自分で作り、みんなに食べてもらいたい」・・・と強いポリシーを持ち続け、小笠原弘さんは1974年から農業に携わってきた。私は、こんな彼とその家族が大好き  で、都会に暮らしながらも、ここに帰ってきて、土を耕すことをデュ−テ−にしている。
 
 農業体験の話しに戻るが、私はこの企画は大変すばらしいことだと感じている。生産現場を自分の目で確かめ、自分の手で実感することが出来るのだ。
 
 これは食物の安全性への関心につながるのではないか、そして食を通じて、農家の生活に触れることで農業が実は楽しく、面白いということが発見出来る。
 
 生産と消費の直結する。これこそ農業の可能性を追求する為の1つの新しい取り組みではないかと思う。
 
 私はいつも1人でここへ来ては畑へ行き、大地のぬくもりに触れ、自然のエネルギーの恩恵を受けている訳だが、それではもったいない!!ということで、この6月、仕事仲間7人で渥美半島へくり出した。
 
 1番の仕事は黒米の田植えである。田植えはおろか、農業体験すら初めてという者ばかりである。裸足でぬかるんだ土に入っていく。立っているだけでもつらい。ミミズもヒルも私たちを歓迎している。7人でよれよれになりながら苗を植えていく。これが何とも心地良い感触なのである。この細い1本1本の苗が、土の中に根をはり、ゆっくりゆっくり水と栄養を取り込み、太陽の光をめいっぱい浴びて育つ。そして肌寒くなる頃に、赤黒いたわわに実った黒米が収穫されるのかと思うとワクワクする。黒米は白米にほんの少し混ぜてやるだけで栄養分が豊かになり、色もうっすらきれいな赤色になる。
 
 田植えが終わったら、1000羽の鶏の中に入っていって卵拾い。

 卵を取られてなるものかと目をつり上げている鶏たちのおしりから1つ1つ卵をもらっていく。するどい口ばしで長靴や手をつつきにくる。恐れおののいて内に入って来れない者もいたくらいだ。
 
 さあ、待ちに待った夕食。自分たちで収穫した野菜、卵、肉などを使った料理を堪能させてもらう。自然と共に生きる農家の暮らしを、垣間見て、体験をして、感じることは山程あった。
 
 ある女性はこう言った。「動物や植物の命をもらって生きてるってこと実感するよね」  

 本当にその通りだ。

 この夏、ここでは小学生の為の農業教室「ファームステイ in どろんこ村」が開催される。子供たちが、自分たちで鶏をつぶして、ハンバーグ作り・・・などなど驚くこと、楽しいことをたくさん体験する。土や草に触れ、自分たちも自然の一部分であることを、子供たちはどんな風に感じるだろう。この子供たちをサポートしてくれる大学生のボランティアスタッフにとっても楽しみな夏のイベントだ。

 さて、私たちも来月は草取りである。