top of page

共生する未来へむかって

牛車で田畑に行き、昼はみんなで煮炊きをする。

それは、六十年くらい前までここ渥美半島で普通に見られた、自然とともに働き、地域のつながりの中で生きる暮らしでした。

その後、豊川用水の開通をきっかけに、この地域も農薬と化学肥料を使った大規模生産へと移行し、農の暮らしは失われていきました。

自分がどう生きるのか。どう社会と向き合うのか。

考え抜いた結果、私はこの地域で一人、農薬や化学肥料を使わない、
循環型の農業を貫きました。

周りからは変わり者と言われ続けました。

 

三十代の結婚をきっかけに、自分の農業はより暮らしと結びつきました。

生産だけでなく、流通も、さらには人との交流も、
全てが有機的に結びついているのが、私にとっての有機農業です。

そんな思いの中、農業の可能性に挑戦するため、

農業体験施設「渥美どろんこ村」を立ち上げました。

 

体験に来た学生たちと共に、かつてからの夢だったファームステイも実現しました。それ以来、育てて食べる暮らしの現場には小学生を中心に中高生、大学生、社会人、家族連れなど、のべ一万人以上の人たちが訪れています。

野菜を育て、豚に餌をやり、いのちの循環の一員となる。

他者に支えられていることを知り、自分の生き方を考える。

単なる農業体験にとどまらず、日々自分の意識を見つめ自分の行動を

主体的に選択する、教育の場となりました。

参加者の子どもたちの成長だけでなく、スタッフとして活動する研修生や

大学生の成長もまた、ファームステイの特徴でした。

 

二○二○年、渥美どろんこ村は合同会社として再スタートしました。

育てて食べる暮らしから、自分自身を客観的に見つめ直すこと、そして
持続可能な社会の実現を担う次世代を増やすこと。

私たちは、農業を通じて、共生する未来を目指します。

どろんこ村の理念

Concept

私たちは農業を通じて、共生する未来=持続可能な社会づくりに取り組みます。
農業は自然であるかのように錯覚しがちですが、実は自然破壊から始まリました。
そして生き物は誰でも他者の命を奪って生きています。
その事実と向き合うこと抜きに、循環する、他者と対等な社会の実現はあり得ません。

Vision

自然やいのちの営みから学んで、
共生する未来(持続可能な社会)を作ろうとする
意識を一人一人の中に育てます。
「地球1個分の暮らし」(共生する社会づくり/身の丈にあった暮らし)を実践する人々の

コミュニティ形成と、それを広げるための仕組みづくり=プラットホーム化に取り組みます。

Mission

共生する社会を作ろうとする意識や価値観を持った人を増やします。
その意識や価値観を身につけて、実践する人を増やします。
農家/半農半X/農業研修生/インターン生などの農的関係人口を増やします。

Sales Value

・農村資源を生かした「感じて考える学び」

・「地球1個分の暮らし」を目指す価値観

どろんこ村の哲学「地球1個分の暮らし」

それは、「時間・空間・エネルギー」の視点で事実を捉え、地球46億年の営みから考えること。
​育てて食べる循環の中で生きること。

私たちは、物事の捉え方の客観性を高めることを、「時間・空間・エネルギー」という合言葉で表現しています。

目の前の一瞬だけを見るのではなく、時間軸を長くして、地球46億年のスケールで捉えること。

自分のことだけでなく、空間軸を広くして、地球に暮らすあらゆる存在のいのちまで考えること。

資源やいのちの循環を成り立たせるエネルギーから、自分が一人だけで生きているのではなく、さまざまなものとの関係の中で生きていることを知ること。

「時間・空間・エネルギー」​の視点を持てば、どんどん視野が広がり、自分の考え方を客観的に捉えられるようになり、知が深まっていきます。
​その先にあるのが、地球全体から自分の暮らしを考える、地球1個分の暮らしです。

地球が誕生した46億年前から、時間・空間・エネルギーは存在していました。人間は、その概念を意識することで、知を獲得し、思考を深めていきました。しかし、現代社会に生きる私たちは、便利さや効率を追い求め、目の前の時間・空間・エネルギーしか見えなくなっています。

 

時間・空間・エネルギーの意識を持って暮らしを見つめ、考える。
それは、46億年前からのいのちのつながりを捉え、その循環の中に自分の存在を位置付けるものになるでしょう。

​育てて食べる暮らしから生まれる「地球1個分の暮らし」が私たちの価値観です。

エネルギーの絵本
1.png

どろんこ村の歩み|History

1997年

愛知県の渥美半島で農業を営む4軒・5人のメンバーが「農業の可能性に挑戦する」

「地域から発信する」を目的に渥美どろんこ村を立ち上げる。
以後、実際の活動は5人のうちの渡部(小笠原)弘・千美江夫妻が経営する小笠原農園が担う。
有機的な農法での露地野菜の生産に加え、農家民宿・農家レストラン・加工(菓子製造)、

さらにその生産と暮らしの現場での体験受け入れを開始。

1999年

体験に訪れた大学生達の協力を得て、

宿泊型農家の暮らし体験「夏休み子どもファームステイ」を実施。
以降、コロナ禍の3年間を除いて毎年開催。

2001年

地域の子どもたちを対象に「田んぼの学校」をスタート。

2006年

NPO法人「はっくるべりーじゃむ」設立

2011年

NPO法人「はっくるべりーじゃむ」と共同で、小学生を対象に「田んぼと畑の学校」開設。

以降、コロナ禍の3年間を除いて毎年開催。

2019年

有機JAS取得

2019年

合同会社渥美どろんこ村(生産法人)設立

2023年

農水省の農山漁村発イノベーション事業の採択を受けて、教材作成。

メッセージ|Message

私たちの考える基本は、育てて食べる暮らしです。

その暮らしの中で、いのちのつながりを実感し、

自分自身の意識を育んでいくことを目指しています。


「育てて食べる暮らし体験」に参加し、いのちのつながりを実感した子ども達が、元の暮らしに帰り成長する中で
「どうしたら他のいのちと共存していけるのか」と考え、模索し、自分自身の意識を見られるようになることが、私たちの願いです。

 

それは一人一人が自分の意識を自分で育むことでもあります。
その上で「自分の人生は自分で選択する」子ども達が増えていけば、
きっと世界は少しづく変わっていくと信じています。

「地球1個分の暮らし」は、

そんなふうにわたしたち自身がいのちのつながりに気づき、変わっていく先に実現するものだと思っています。


渥美どろんこ村

小笠原 弘、渡部千美江

109631F1-2490-4408-84A5-B90BA67469B7_edited.jpg
bottom of page